【脳梗塞の出版局長】麻痺しているのは右手先だけでなく身体の右半身 「下手したらこのまま人生終焉」の乗り越え方【真柄弘継】連載第6回 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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【脳梗塞の出版局長】麻痺しているのは右手先だけでなく身体の右半身 「下手したらこのまま人生終焉」の乗り越え方【真柄弘継】連載第6回

【新連載】脳梗塞で半身不随になった出版局長の「 社会復帰までの陽気なリハビリ日記」163日間〈第6回〉

 

◆麻痺してから手先だけでなく、身体の右半身が固くなっていく

 

◾️9月13日土曜日

一昨日の夜ほど疲れてはいなかったようで、普段のように20時から寝て、何度かトイレで起きたが、4時に起床。

3時頃は警報が出るほどの豪雨だったようで、病室の窓を叩く雨の音で目が覚めるくらい降っていた。

世間的には三連休のはじまり。

だけどリハビリテーション病院のカレンダーは毎日黒日。

必死こいて治ろうとする人たちと、早く入院期限を終えて帰りたい人たち。

認知が衰えてそれすら感じない人たちで溢れる(とはいえ全体の入院患者は180人程度)病院。

雨が降ろうと、雪が降ろうと、猛暑だろうと、患者さんとセラピストさん、看護師さんと介護士さんは今日も1日を乗り切るのだ。

 

朝の食堂で毎朝のルーティンとなっている新聞に目を通す。

初期の見守られていた頃は朝日・読売・日経・日刊スポーツと置いている新聞を全部読んでいた。

身体が動いて行動も自由が増すにしたがい、朝日と日刊スポーツだけになった。

今朝も朝日から読んで次の日刊スポーツと思ったら、最近入院してきた歩ける脳卒中患者さんが先に読んでおり、これまで独占していただけに、ちょっぴり悔しい気持ちが湧いてきた。

一度部屋に戻り時間をあけて戻ってもまだ読んでいる。

仕方なく読み終えるのをのんびり待ってから今日の競馬の馬柱をチェックした。

 

最初のリハビリは足。

火曜日に初めて入ってくれたO橋さん。

今日も初めはふくらはぎと太股の笑うしかない痛さのストレッチ。

けれど足はとっても軽くなるから不思議。

なによりも、往復30メートルの距離を杖を使わずに歩いたのだ!

ゆっくりとだが杖を持たずに自分の足だけで歩いたよ。

右足が体重に負けない筋力をつけており、杖を持っていても使わずに浮かせて歩けた。

確実に右足は回復しているから、入院期限の11月21日までには杖無しで歩けるようになる気しかしない。

 

次のリハビリまで1時間以上もある。

これまで10分踏んでいたヌーステップを、これから持久力をつけるために20分に延ばして踏む。

二つ目も足のリハビリ。

またしても杖無しで歩いたよ。

セラピストさんに思っている以上にいいと言われ、自立4に向けた練習をする。

まず1階のトレーニングルームからエレベーターを使って2階に。

そこで狭くなっている場所を選んで歩く。

それから自分の席で椅子の出し入れと、新聞ラックから新聞を自席まで持ってきて、読んだあとは元に戻すという一連の流れにチャレンジ。

そのまま歩いて1階へ戻り、少し休んだら外のスロープ(緩やかな坂道)にチャレンジ。

すべてそつなくこなしたところで時間いっぱい。

杖無し含めて、どのシチュエーションも思っている以上に良いと、セラピストさんが驚かれていた。

午後イチは腕のリハビリ。

肩と肩甲骨回りの筋肉を伸ばして腕の可動域を増やすためのストレッチ。

麻痺してから手先だけでなく、身体の右半身が固くなっている。

思うように動かないのに追い討ちをかけるような筋肉の固まりが痛みとともに広がってくるのだ。

最後の足のリハビリの前にマシンの負荷を高めて5分踏んだが、疲れからかステップが重く感じられる。

リハビリは2周歩いてから入念にストレッチ。

足首が部屋の中での歩きの練習で固くなってきている。

火曜日の靴が届くまではなるべく自分でも足首と足指を解していこう。

 

今日の競馬は阪神第1レースをワイド3点と単勝と三連複で500円に対して、2着3着のワイドが的中で300円の戻り。

途中、中山の第8レースを複勝と馬連ワイドと3点300円買ったら、またしても2着3着のワイドと複勝が当たり3790円戻ってきた。

あと五つのレースは全敗。

本日の収支は4000円に対して残金2500円。

今週も確実な回復を確認できて良かった。

期限まで10週間あるから、どこまで回復していくのか楽しみだ。

これからも日々の自主トレとリハビリをしっかりと取り組んでいこう。

 

文:真柄弘継

(第7回「【脳梗塞の出版局長】 入院患者たちの人間模様〜リハビリテーション病院に集う患者さんたち」につづく…)

◆著者プロフィール

真柄弘継(まがら・ひろつぐ)

某有名中堅出版社 出版局長
1966年丙午(ひのえうま)126日生まれ。1988年(昭和63)に昭和最後の新卒として出版社に勤める。以来、5つの出版社で販売、販売促進、編集、製作、広告の職務に従事して現在に至る。出版一筋37年。業界の集まりでは様々な問題提起を行っている。中でも書店問題では、町の本屋さんを守るため雑誌やネットなどのメディアで、いかにして紙の本の読者を増やすのか発信している。

2025年68日に脳梗塞を発症して半身不随の寝たきりとなる。急性期病院16日間、回復期病院147日間、過酷なリハビリと自主トレーニング(103キロの体重が73キロに減量)で歩けるまで回復する。入院期間の163日間はセラピスト、介護士、看護師、入院患者たちとの交流を日記に書き留めてきた。

自分自身が身体障害者となったことで、年間196万人の脳卒中患者たちや、その家族に向けてリハビリテーション病院の存在意義とリハビリの重要性を日記に書き記す。
また「転ばぬ先の杖」として、健康に過ごしている人たちへも、予防の大切さといざ脳卒中を発症した際の対処法を、リアルなリハビリの現場から当事者として警鐘を鳴らしている。

 

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真柄弘継

まがら ひろつぐ

現役出版局長

1966年丙午(ひのえうま)126日生まれ。

1988年(昭和63)に昭和最後の新卒として出版社に勤める。

以来、5つの出版社で販売、販売促進、編集、製作、広告の職務に従事して現在に至る。

出版一筋37年。業界の集まりでは様々な問題提起を行っている。

中でも書店問題では、町の本屋さんを守るため雑誌やネットなどのメディアで、いかにして紙の本の読者を増やすのか発信している。

 

2025年68日に脳梗塞を発症して半身不随の寝たきりとなる。

急性期病院16日間、回復期病院147日間、過酷なリハビリと自主トレーニング(103キロの体重が73キロに減量)で歩けるまで回復する。

入院期間の163日間はセラピスト、介護士、看護師、入院患者たちとの交流を日記に書き留めてきた。

自分自身が身体障害者となったことで、年間196万人の脳卒中患者たちや、その家族に向けてリハビリテーション病院の存在意義とリハビリの重要性を日記に書き記す。

また「転ばぬ先の杖」として、健康に過ごしている人たちへも、予防の大切さといざ脳卒中を発症した際の対処法を、リアルなリハビリの現場から当事者として警鐘を鳴らしている。

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